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【第2回勉強会/会頭講演(1)】
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活動報告:目次
  1. プログラム
  2. 会頭講演
  3. グループワーク
  4. アンケート
2003.1.26「頭の中をPOSに!」(第2回)

「『頭の中をPOSに!』ってどういうこと?」
演者:服薬ケア研究会 会頭 岡村 祐聡氏

a.テキスト掲載文(『服薬ケア研究会第2回勉強会』より引用)

POSとは、通常日本語では「問題志向システム」と約される、医療における医療解決技法の一種です。その特徴は、問題点ごとにSOAP分析を行い、その問題点の背景と根拠を明らかにしながら解決策を探るところにあります。その結果「なぜその解決方法を選んだのか」がわかるだけでなく、問題点の細分化、クラスタリングなどをその過程で行うため、問題点そのものを見つけやすくなるという効果もあります。もともとは医学教育のために考案されたシステムではありますが、近年薬剤師の間でも、病院薬剤師は病棟業務において、薬局薬剤師は特別指導加算などの調剤報酬に対応した薬歴の記載のために、POSを取り入れることが多くなっているようです。しかし、POSを「薬歴の書き方の決まり」と理解するとそこから先がうまく行かなくなってしまいます。

POSというのは薬歴の書き方ではありません。POSにとって記録というのはとても重要なものではありますが、記録することそのものがPOSの目的ではないのです。POSの目的は問題を解決することにあります。SOAPに分類された記録は、どのように考えて解決したのかをそのまま記録する方法であり、SOAPとはより良い解決方法を考えるための分析のしかたなのです。

つまり窓口において患者さんとのやり取りは今まで通りにしておいて、薬歴を書くときだけ「SOAP」と言ってもそれではPOSにならないのです。患者さんと話をしている最中に得られる情報をSOAP分析しながら考えていく事が大切であり、それが「頭の中をPOSに!」するということなのです。

それでは実際に「頭の中をPOSに!」するために必要なことは何でしょうか?それは「考える力をつけること」です。通常よく接するような症例の場合、経験のある薬剤師なら「どのようにすべきか」はすでにわかっています。すでに答えがわかっているために、改めて「このような場合は、こういう理由で、このようにしよう。」と、論理的に考えていないことが多いのです。考えるまでもなく答えがわかってしまうこと自体は悪いことではないのですが、いつもそのような対応をしていると、解決方法を知らない問題に出会ったときに、「どうすればいいのかわからない」ということが起きてきます。それでは本当の意味で実力がついたとは言い難いものがあります。そのような状態の時、実際の業務でどうなるかというと、「アセスメントが書けない」「アセスメントに何を書いて良いかわからない」ということになります。

そのような状態を解決するためには、今回皆さんにやっていただく演習がとても役に立ちます。それぞれのステップごとに「なぜそう考えたのか」を一つ一つ確認しながら進めていくことで、「考える力」をつけていきます。最終的にProblemが確定したときに「考えたこと」が結局アセスメントになるはずです。つまりこのような思考訓練をすることによって、アセスメント力をつけることが出来るのです。

それではアセスメント力がつき、「頭の中をPOSに!」出来た場合、実際の患者さんとのやり取りは何が変わってくるのでしょうか?それとも表面上は何も変わらないのでしょうか?実は「頭の中をPOSに!」していった場合、患者さんへの質問が変わってきます。自分の考えていることがその根拠と共にハッキリと認識できるために、それを補強するための情報を得る質問や、自分が「こうだろう」と推測したことが、本当にあたっているかどうかを確認するための質問が、必ず多くなります。そしてその結果、ケアの質が向上し、患者さんの満足度も高くなることになります。これが「頭の中をPOSに!」 する効果であり、だからこそ「患者さんが帰ってから薬歴を書くときになってSOAPと言ってみてもダメ」なのであり、患者さんと話している最中に「頭の中をPOSに!」しなければ意味がないのです。

皆さんもぜひこの演習を通して「頭の中をPOSに!」して患者さんと窓口対応できるようになってください。

 <会頭講演>
(2003.2.1.掲載)

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