【活動報告/第35回勉強会】
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日時:平成18年5月7日(日) 10:00〜16:00
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場所:岡山県立図書館
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テーマ:頭の中をPOSに!特別編 〜患者さんに提供する最適なケアとは
<プログラム>
1.開会のことば 10:00〜10:10
2.最適なケアプランを見つけるための考え方(講義) 10:10〜10:50
3.「頭の中をPOSに!」(ワークショップ)
10:50〜15:30
《 途中 昼食 (45分) 》
4.発表・まとめ 15:30〜16:00
<目次>
講義(会員のページのみで公開しています)
(以下、会員のページのみで公開しています)
発表[SOAP薬歴記載例](会員のページのみで公開しています)
<ワークの進め方>
このワークでは、実際の窓口における患者応対のように、患者さんとやりとりをしながら、プロブレムを見つけていき、ケアを行ないます。通常は2〜3分で終わる患者さんとのやりとりを、一つ一つ区切って、その時何を考えているのかを確認しながら進めることにより、頭の中がPOSになっている場合の考え方を、皆で学んでいきます。
全体の流れは、チューターの案内に沿ってディスカッションを進めます。
1. 「模擬症例」をよく読んでください。
あなたは○月○日の窓口対応を担当する薬剤師です。 模擬症例に記載してある内容以外は、あなたは把握していません。過去の記録はここに書いてあることしか今の段階では把握できませんでした。これ以外の知りたいことは、すべて患者さんから直接聞いて下さい。
2. この患者さんに質問したいことを考えてください。
窓口対応を進めるにあたって、質問したいことをグループで話し合って決めていきます。
3. 質問できるのは15回までです。
行き当たりばったりに、「聞くだけ聞いておこう」という質問を避けるために、質問は15回までとします。15回の質問を使いきるか、話し合いで「今日のケアはここまででよい」と皆が合意するまで、続けてください。
4. なぜその質問をしたいのかグループで話し合って「本当に今その質問をした方が良いのか」をグループで意見統一してから、患者さんに質問します。
この時、
・なぜその質問をしたいのか。
・どんな答えを予測しているのか。その場合どんなことがわかるのか。
・その答えがわかると、ケアの方向性としてどんなことが考えられるのか。
などを、しっかりと話し合ってください。
余裕があれば、その時「どんな質問の仕方をすると良いか」も話し合ってください。質問は、患者役の参加者に対して、実際の窓口で聞くように質問してみてください。
5. 同じ質問に関連したこと(別の判断が引き出せる別の話題ではなくて、一つの話の流れの中で聞けてしまう一連の内容)は1回の質問の中で一緒に聞いてしまっても結構です。
ただし、患者さんからもらった答えを聞いて、その場で思いついたことは、一端止まって、その思いつきが良いのかどうか話し合ってから質問してください。(質問カウントは一つ増えます)
質問をする前に、グループで話し合って、あらかじめ予測した範囲内のことであれば、続けて進めてしまっても構いません。
「気付き→掘り下げ」のステップで、掘り下げているときに、確認しておいた方が良いことを思いついた場合、同じテーマを掘り下げるための質問ならそのまま続けてしてください。違うテーマに移っていくことなら、一端止めてその是非を話し合ってください。(質問カウントは一つ増えます)
6. 患者さんの答えから分かったことをグループで話し合ってください。
その答えを聞いた上で、
・その答えから何がわかったのか?
・予測した方向性は間違っていなかったか?
・今わかったことを前提として次に何を知りたいのか?
などを、またグループで話し合ってください。
患者さんから得られた情報は、その度にクラスタリングしながら把握していきます。患者さんはいろいろな問題をごっちゃにして答えてくれますが、それを「これはこちらの問題」「これはこれとは違うこと」とわけながら受け取ってください。
この時、考えたことは合っていたのに、質問の仕方が良くなくて、正しい答えがもらえないケースも多々ありますので、質問の仕方は今ので良かったのかどうかも、検討してください。
7. 質問の途中で患者さんに対して説明したいこと、指導したいことが出てきたら、それをお話してもかまいません。
お話したいことが出てきた場合は、
・なぜその説明をしたいのか?
・何をわかってもらいたいのか?
・それを理解してもらうと何が達成できるのか?
などをグループで話し合って、その指導を行なった方が良いということを、グループ全員で確認した後に代表者が患者さんにお話してください。この場合はテーマごとに質問1回分とカウントします。(2つのことを理解してもらおうとして指導したなら、それは2回分とカウントします)
8. ケアが終わりまで行ったら、プロブレムを立て、SOAPで薬歴を各自で書いてください。代表者に発表していただきます。
<かかりつけ情報> ・ 以前から、断続的に来局(処方はほとんど変わらず、多少錠数・用法が変更になる程度) ・ 今回は2月10日から来局 ・ それ以降は継続して来局している
患者氏名:桃谷 朗子(ももたに あきこ)
生年月日:昭和36年1月11日
飲酒:(+) 喫煙:(−) アレルギー:なし
副作用歴:特になし
他科受診:なし 併用薬:なし
[3月14日] 和気耳鼻科医院 (Dr 和気 清麻)
@クラリス200mg錠 1錠
1日1回朝食後 14日分
Aムコダイン500mg錠 3錠
ノイチーム90mg錠 3錠
1日3回毎食後 14日分
薬はちゃんとのんでいるとのこと。気になることはありません。
[3月24日] 和気耳鼻科医院 (Dr 和気 清麻)
@クラリス200mg錠 1錠
1日1回朝食後 14日分
Aムコダイン500mg錠 3錠
ノイチーム90mg錠 3錠
1日3回毎食後 14日分
薬をのんでいるのに、鼻の奥の方が重い感じがすることがある。今日は患者さんが多かったので、先生と話はしていないとのこと。症状軽減のためにも、継続服用を勧め、受診をして、症状を医師に伝えるよう指導。
[4月4日] 和気耳鼻科医院 (Dr 和気 清麻)
@クラリス200mg錠 1錠
1日1回朝食後 14日分
Aムコダイン500mg錠 3錠
ノイチーム90mg錠 3錠
1日3回毎食後 14日分
鼻の処置は痛いのであまりしてもらいたいとは思っていないとのこと。 処置をしてもらうと治療効果があがると話した。
[4月14日] 和気耳鼻科医院 (Dr 和気 清麻)
@クラリス200mg錠 1錠
1日1回朝食後 14日分
Aムコダイン500mg錠 3錠
ノイチーム90mg錠 3錠
1日3回毎食後 14日分
この日の応対をディスカッションする。
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まず、薬歴を見て、気になったことをリストアップした。
u
現在の症状の確認をしたい
u
受診間隔が短いのは、薬を多く飲んでいるせいではないかを確認したい
u
現在の症状の確認をしたい
u
受診間隔が短いのは、薬を多く飲んでいるせいではないかを確認したい
u
本日、医師と話をしたか、処置を受けたかどうか確認したい
u
併用薬(市販薬も含めて)の有無
u
処置の内容と効果について
u
花粉症なのかどうか?
u
医師に言いたい事を言っていないのでは?
u
薬が残っていても何か理由があって来るのではないか?
u
今の病状に処方薬が合っていないと思っていないか?
u
医師に症状の相談をしてみてはどうかの提案
u
今一番困っていることは何?
u
どこの治療してるのか(病名?)?
u
クラリスの量が少ない事を医師に疑義照会したい
u
症状が悪くなったら受診して、しばらく続けて受診しているのか?
u
副作用は?
上記の中から「何を一番聞いてみたいか」について検討。
なぜ間隔短く来ているのかをそのままストレートに聞きたいという意見と、今何で困っているのという、ちょっと違った角度で聞いて、それにあわせてどんな方向性でお手伝いできるかを考えていきたいという意見と、2つあった。
最終的に、
患者さんの状況を知りたいが、そのためには症状から聞いていって、のんでいる薬に満足しているかどうかなどの他の質問に移っていった方が、話してくださりやすいのではないかということで質問を始めた。
薬剤師; 桃谷 朗子さま。
桃 谷; はい。
薬剤師; はじめまして、薬剤師の○○と申します。よろしくお願いいたします。今日ですね、お薬のほう、こちらのほう、いつも飲まれているお薬が処方されてますけど、今日は、症状、お加減の方はいかがでしょうか?
桃 谷; そうですね、そんな、いつもと変わらないです。
薬剤師; いつもとお変わりない。
桃 谷; はい。
薬剤師; 実際いつもと変わりないというのは、どういうような。重たいとかそういうような。
桃 谷; そうですね。今日は鼻のほう、重たいとは思わないですね。
薬剤師; 何年前からかわかんないですけど、最初にこちらでかかられてから、その時の症状と比べたときいかがですか?お薬飲まれてて。
桃 谷; 最初って言うのは
薬剤師; 最初にこちらの医院にかかられたのが、平成15年ですね。実際今お薬こちらのほうに変わられて、最初のときと比べていかがですかね。
桃 谷; 最初のときはちょっと悪かったですけど、今はいいですよ。
薬剤師; どのようにかわったんですかね。
桃 谷; すっごく鼻が詰まって、こう詰まったかと思ったら、出るときはだらだら出てきちゃって、それは今もうないんでねー。
薬剤師; もう症状のほうはない、そのへんは先生ともよく診察、受診されておはなしされてるんですかね?
桃 谷; そうですね、話はあまりしないですけどね。
薬剤師; あ、あまりお話されてないんですか、先生とは。
桃 谷; ええ、
薬剤師; こないだ3月のときも、鼻の奥が重たかったときはお話されてなかったけれども、その後のときは
桃 谷; このごろ多いでしょ、患者さんが。だから、もう、薬もらったら大体いいから、先生とはもう
薬剤師; お話されないんですかね。お薬だけですか?
桃 谷; 薬だけもらってます。
薬剤師; 処置のほうとかは、そのへんは?
桃 谷; 痛い、じゃないですか。
薬剤師; じゃあ、処置のほうはほとんどされずにもうお薬だけ
桃 谷; ええそうですね、はい、はい。
<会話1>から分かった事を整理
・ 処置に関しては「痛いじゃないですか」とおっしゃったが、本日処置を受けていないとは確認できていない。
・ 患者さん自身は先生とはあまり話していない
・ 薬をもらいに来ている。
「薬をもらいに来ている」ことはわかった。ならば、薬に対してどう思っているのかを知りたい。そこで、具体的にどうのんでいるのか?と聞くことからアプローチすることになった。
薬剤師; 桃谷さん。
桃 谷; はい。
薬剤師; お薬3種類出てるようですけれども、今は具体的にはどのようにのんでいらっしゃいますか?
桃 谷; この袋に書いてあるとおりにのんでますよ。
薬剤師; 書いてあるとおりに。
桃 谷; ええ、これが1日1回ですよね。
薬剤師; クラリスが1日に1回。
桃 谷; これとこれが1日3回ですよね。
薬剤師; ムコダインとノイチームが1日3回。
<会話2>から分かった事を整理
・ 薬3種類は指示どおりにのんでいると言っているが、確実に指示通りのんでいるかどうか、心証としては疑問が残る
・ 薬が14日分出てるのに受診間隔がそれより短いので、たぶん当然薬は余っていっているはず
・ <会話1>での、“お薬をもらったらそれで(大体)いい”と言っている理由が不明。
そこで、「お薬をもらったらそれでいいから」っていうのを、掘り下げてみる。
薬剤師; 桃谷さん、先ほどお薬に関しては「お薬もらったらそれでいいから」 っておっしゃったんですけれども、それはどんなお気持ちからですか?
桃 谷; お薬、のんでたらよくなるでしょう?
薬剤師; お薬のんでたらよくなると
桃 谷; ええ、先生がそう言ってたんですね。
薬剤師; 先生がお薬をのんだらよくなるとそう言ってたんですね。
桃 谷; そう。
<会話3>から分かった事を整理
・ 桃谷さんは医師が「薬をのめばよくなる」と言ったからのんでいる。
・ 確実に指示通りのんでいる、との心証を得た。
次に受診間隔が短い理由をこの辺で聞いてみる。
薬剤師; 桃谷さん、あの、先ほどきちんと、あの、指示通り飲まれているということでしたけれども、、、
桃 谷; はい。
薬剤師; そうしますとだんだんお薬余ってきてませんか?このところちょっと早めにいらっしゃっているようですけど。
桃 谷; あっ、それがねぇ、えへへ、・・・・・・・・・・・・
(以下、会員のページへつづく)
このように、活発な議論はまだまだ続きました。
服薬ケア研究会では、このような非常に充実した勉強会を、全国各地で開催しております。
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